まあるい抱っこの講座~子どもの体の発達は、赤ちゃんの抱っこから始まっている

先日、辻直美先生のまあるい抱っこのお話を聞いてきました。
赤ちゃんを泣き止ませるための抱っこ法じゃなくって、赤ちゃんが心地いいと感じる抱っこ法。多くの海外製のだっこ紐が、ママが楽なようにと作られています。赤ちゃんはお荷物のように「入れられる」。その結果、赤ちゃんの体がどうなっているか?

あごの小さい子供、虫歯になりやすい子供、転んでも手が出なくて、顔から転ぶ子供、しっかり立てない子供、疲れたと言って長時間立てない子供、横向きに字を書く子供、そんな子供が増えています。そんな子供達も、体の発達が原因だとしたら?赤ちゃんの時の抱っこが原因だとしたら?人生の中で、抱っこされる時間はとても短い。けれども、その抱っこが、とても大事だと言います。

そり返る赤ちゃん

股関節脱臼は、アジア人特有のものだそうで、海外メーカーは赤ちゃんの股関節脱臼のことを考えて開発されていないため、多くの海外製のだっこ紐が、ママが楽なようにというのが優先されて作られています。おんぶひもの中で、頭が後ろにそり返っている赤ちゃん、見たことないですか?おんぶの時、抱っこの時、ミルクの時、いろんな場面であごが上がった状態になってることが多くないですか?そり返った姿勢が普通になっていくと、あごが上がります。すると、口が閉まらない。今、口呼吸の子どもが増えていて、口の中も乾いている、感染症にもかかりやすい、ミルクを飲むにも、あごがうまく使えないため、あごが発達せず、小さいあごの子どもも多いと、歯科医さんが言うそうです。あごが十分発達していないから、歯の生え変わりがうまくいかず、二枚刃になってしまったり、唾液が少ないので、虫歯にもなりやすくなる。そり返ることで、手をしゃぶるハンドリガードの時に、肘が上がって、小指からしゃぶるくせがつき、肩を回転させてスプーンやフォークを使うようになるので、うまく口に入らず、ぽろぽろこぼしやすい。成長して字を書くときに、紙を斜めにおいて書くようになる子もいます。

その後、ハイハイして、座る、立つという動作や姿勢にも影響を与え、しっかり立てない子どもも多いといいます。転んだ時に、手が出ない、骨折したり、頭や顔から転んでしまう、そんな子供も増えています。

ところで、股関節脱臼は、なぜ、アジア人特有なのか?もともと、赤ちゃんの股関節はⅯ字開脚に自然になるのが理想です。もちろん、遺伝的要因もあります。でも、そのほかの要因として、戦後の巻きおむつが原因ともいわれていましたが、股関節脱臼が増えたことで、Ⅿ字開脚の重要性が指導されるようになり、おむつが変わってきたことで、だんだん減ってきていました。ところが、2015年から股関節脱臼が増えてきています。この原因が、海外の育児グッズを使うようになったことに対する無知があげられています。股関節脱臼のことを考えて作られていないので、その中で長時間抱っこされ続けていることによって、股関節脱臼が増えてきているようなのです。また、そり返りによる極端な向き癖も理由に挙げられるようです。

 

まあるく抱っこするということ


「抱っこ」は、「手で包む」と書いて抱っこと読みます。「育む」は、「羽でくくむ(包む)」。赤ちゃんをふんわり包み込む抱っこで、赤ちゃんに心地いいと思ってもらえることが大事なのです。赤ちゃんは「なにこれ、きもちいい」と、気づくのか、魔法のようにピタリと泣き止み、にっこり笑いだします。そして、足の裏はピンクに色づき、血行が良くなります。

泣くから、泣き止ませるために抱っこする、移動するために抱っこするそんな抱っこが多くないですか?お母さんが抱きしめてほしい時って、どんな風に抱きしめてほしいですか?赤ちゃんだって同じです。赤ちゃんを包み込むように大事に抱っこしてほしい、温かい気持ちで抱っこしてほしい。

パパが抱くと泣いちゃうとか、どうやって抱っこしていいかわからないパパは、抱っこすることすら緊張して、躊躇します。どうせママじゃないとダメなんだろう?っていう気持ちが働いちゃうかもしれません。でも、そんな自信のない人に抱っこされたら、赤ちゃんはどう思うでしょう?緊張して、体から話して抱っこする。赤ちゃんの身長の三倍の高さでぶんぶんゆすられる・・・。そう思ったら、怖くないですか?

自身のないパパだって大丈夫です。「自分のこの厚い胸板にど~んとこい!」っていう気持ちで、彼女を抱くように、自分の胸にしっかりつけて、柔らかくまあるく抱っこすると、赤ちゃんも安心します。相手を1人の人として思いやる、「これがいい?これが心地いい?」って、相手がどうすれば心地いいかを思いやる気持ちが大事なのです。

おむつがえも、同じこと。状態をタオルなどで少し高くしてあげて、M字開脚をしっかり守ってあげて、足のうらをあわせて、おへそに持って行ってあげると、赤ちゃんの姿勢をまあるく保ったままおむつ替えができます。

抱っこも、お世話も、全て気持ちは一緒。M字開脚を守って、お尻よりひざが上に上がるように、赤ちゃんがリラックスできるように、まあるく包んであげるそんなイメージをしっかり持ってあげると、赤ちゃんが楽ちんで心地いいのです。

 

皮膚は 「第三の脳」

皮膚は「第三の脳」ともいわれています。赤ちゃんのお世話するとき、抱っこするとき、めんどくさいな~と思ってするのと、温かく包み込むような気持で抱っこするのとでは、触れられた時の安心感が全然違います。これは、パートナーと、背中に手を当てっこしてみたらわかります。お互い、首根っこや、肩甲骨に、「めんどくさいな~」って思って手を当てるのと、パートナーのことを「大好き~!」って思って、ふんわり手を当てるのと。

後者の場合、じわ~っと、心地いい暖かさを感じるのです。それが、皮膚の感覚。肌で感じる感覚は、実は非常に敏感です。

赤ちゃんだけじゃなく、お年寄りになっても、この、肌の感覚はとても大切です。人は、触れてほしいのです。それも、温かい気持ちで。

人は、一日30秒のハグで、ストレスの1/3が軽減されるともいわれています。タッチセラピーというのもありますが、優しく触れることで、脳内のセロトニンが分泌され、安心感を抱きます。

泣き止まないから、仕方なく抱いてゆするのではなく、赤ちゃんが心地よくなる抱っこを心がけてみてください。赤ちゃんだけじゃなく、少し成長した、上のお子さんも、同じことです。ふんわり温かく包み込む抱っこを心がけてみると、心が安定した子になっていきます。