子ども時代、友達とけんかするのは人間関係を学ぶ大事なこと

うちには毎日のように子供たちがやってきますが、その中で、ときどき起こるケンカ。ほんの些細なことがきっかけでケンカになるんだけど、子ども時代のケンカは、それほど長引かず、気が付けば仲直りしてまた遊んでいることがほとんど。

子どものケンカに口を出すなと昔はよく言いましたが、もしこれが、わが子が心を傷つけられたのだとしたら、黙っていられなくなるものです。

でも、子供時代のケンカは、人間関係を学ぶ大事な練習です。自分の感情として、悔しいという感情や怒りという感情を感じます。ぶつかり合うことで、相手が怒ったり泣いたりしてしまった時、そこで初めて相手の気持ちを知ることができます。自分も同じ気持ちを感じた事があるからこそ、相手の気持ちを想像することができる。

「ケンカしちゃだめよ」「仲良く遊びなさい」「人のおもちゃはとっちゃだめよ」「ほら、ごめんは?」。他の子とケンカしないで、いい子になってもらいたいから、自分の子が使ってるおもちゃがとられた時でも、子どもの気持ちも考えず、「貸してあげないさい」って言ってしまうこと、多いですよね。そうやって、子どもからケンカする機会を奪って行けば、表面的にはいい子にはなるかもしれないけれど、その子の「ほんとは僕が今これで遊びたかったのに」という気持ちは置いてけぼりになってしまいます。

子どもがケンカしたとき、親は、大人は、どう関わればいいのでしょうか?

ケンカの体験は宝物

年齢によって、ケンカもちょっと違います。

2~3歳のころまでは、基本的に自分の世界に生きているので、自分が遊びたいものと、人が遊んでいるものの区別がつきません。だから、おもちゃの取り合いで泣いてしまうこともよくあります。「相手の気持ちを考えて」なんてことはできない時期です。そういう意味で、ケガがないように、注意をそらしてあげたりとか、大人の仲介が必要になってきます。

それが、4,5歳になると、少しづつ社会性が芽生ええきます。取られた子が泣いちゃって、ちょっと気まずい気持ちになるのも、社会性が育ってきているからです。

そして、この頃になると、おもちゃの貸し借りのけんかだけでなく、一緒に遊びたいのに仲間に入れてもらえないとか、人間関係のトラブルが見られるようになります。この時期は、子どもから、大人に対して、「○○ちゃんがいれてくれない」など、言いに来ることもありますが、「そっか、あなたはこうしたかったのね」「○○ちゃんはこうしたかったんだって」「○○ちゃんは、今は違うことで遊んでいたいのね」など、お互いの気持ちを代弁してあげるような仲介も、時には必要かもしれませんが、それ以外は、子供同士で解決するように、見守ってあげるのがいいと思います。

大人がすべて解決してあげないで、子供同士で気持ちを伝えあうことが大事です。

そういう繰り返しがあってから、6,7歳の小学校に上がるころになって、大人の仲介なしで気持ちを伝えあうことができるようになるものです。

ケンカすることで、相手の気持ちを知るという経験は、何度も繰り返しながら積み重ねていく必要があります。

幼児期は特に、ケンカしてもすぐに仲直りができるものです。さっきまでケンカしてたかと思うと、次の瞬間にはケロッとして、一緒に笑いあっているものです。

子どもの頃のけんかは宝物です。

子どものけんかにすぐに大人が出てきて、「あなたが悪いんでしょ。」「ごめんなさいは?」と、謝らせて終わりにはさせないようにしたいもの。

もちろん、悪いことをしたら謝る。だから仲直りもできる、ということもあるでしょう。でも、一番大事なのは、相手がどんな気持ちになったかを感じること。悪いことしちゃったなっていう気まずさを感じ、それでもまた一緒に遊びたい、って思うこと。それができたら、自然にごめんねが出てくるのかもしれません。

ケンカと暴力は違うもの

子どもがケンカした時、相手を泣かせてしまったり、相手を叩いてしまったりすると、どうしても親が謝らなければならないことも出てきます。そんな時、話をちゃんと聞いてもらえなかったり、ご免なさいは?って、謝らせられたり、ケンカになる前に、あなたが譲ってあげなさいと我慢ばかりさせられて、自分の欲求をちゃんと満たされてこなかった子供たちは、欲求不満がたまります。

大人だって、自分の話をちゃんと聞いてもらえないと、もやもやするものですよね。話をちゃんと聞いてもらえる、これだけでも違います。

子どもはなおさらです。

乱暴だったり、意地悪してしまう、気になる子供たちは、欲求不満がたまっているような、満たされていない場合も多いようです。

もうひとつには、怒りの感情の表現のしかたがわからない、ということもあります。

ケンカは人間関係を学ぶために必要なことですが、暴力は、どんな場合もしてはいけないと教えるべきです。人を直接傷つけることと、言葉によって人の心を傷つけることは、良くないことだと教えておく必要があります。

また、そういう意味で、怒りの感情を持ったときに、時に手が出てしまう子などは、根気よく怒りを感じた時の対処法を伝えていく必要があります。

かつてうちに良く遊びに来ていた悪たれ達も、初めの頃は、カッとなったら手が出る足が出るで、暴力を抑えるのに苦労しました。

彼らに何度も何度も伝えたのは、カッとなったとき、嫌な気持ちになったとき、暴力を振るう以外にも気持ちを鎮める方法があるんだよということ。

その場から離れて、自分の気持ちの落ち着くところに行くのもいい。そうやって間をおいて、自分の気持ちが静まるまで、深呼吸したり、ゲームするなど、気をまぎらわせたりしてもいい。

うちにはまだ当時五歳の末っ子がいたので、小さい子にカッとなったら暴力ふるっていいんだと教えないでほしいということや、頭に来たら暴力ふるうのは普通じゃないんだということ、言葉でまずは気持ちを伝えたらいいんだということなど、そんな事を事あるごとに伝えました。

最近では、アンガーマネージメントという、怒りをコントロールする方法もあって、言い返す前に、やり返す前にカッときたら、6秒数えるという方法もあるようです。

心が満たされていること

ケンカしても、暴力を振るわないようにするためには、子どもがある程度普段の生活の中で満たされている必要があります。

子供の望んだことを、できるだけ聞いてあげる、という親の関わりが必要となります。子供の望むことというのは、あれ買って、これが欲しいというような、ものに対する欲求じゃなく、だっこして欲しいとか、おんぶして欲しいとか、いっしょに遊ぼうとか、散歩の時に手をつないで欲しいとか、子どもが一生懸命話してることを、手を止めて、視線をあわせてちゃんと聞いてあげることだったり、そういうスキンシップや、心の欲求を満たしてあげることです。

ものを買い与えただけでは、心の欲求は満たされません。

そして、子供の欲求を満たしてあげるには、親も心に余裕がないと難しいでしょう。親自身も、欲求を満たされている必要があります。

お母さんであれば、お父さんや、おじいさんおばあさんに協力してもらえてるとか、話をちゃんと聞いてくれる人がそばにいるとか、お母さんを大事に思ってくれる人が必要です。

大人も子供も、心が満たされていれば、多少のケンカをしたとしても、問題が大きくなることはまずありません。

親が満たせない場合は、誰かが満たしてあげたらいいんです。

甘やかせたらどんどん調子にのってエスカレートするから、あんまり子供の言うなりになってはいけないという人もいますが、私は、それでもできる限り、欲求を満たしてあげたら、それだけで子供達の心は安定してくるのだと思っています。

確かに、こんなことも許してくれるのかと、次々問題を起こす子もいますが、ある意味子どもは試しています。

こんなことしても、受け入れてくれるの?って。

写真は、悪たれの一人。

困るようなこともいっぱいやりましたが、おんぶして欲しがる子でした。

お父さんに、こうやって、5歳の息子と競いあうように、よくお父さんに上っていました。

彼らも、1年半ぐらいかけて、暴力を振るわないようになり、心も安定していったように思います。

まとめ

子どもたちは、ケンカすることで、人間関係を学びます。相手の気持ちを知り、相手の痛みを知ることは、とても大切なことです。

子どものケンカは、修復も早く、ケンカしてもすぐ仲直りできてしまいます。

そういう意味で、たくさん失敗しても大丈夫な時期です。

相手を怒らせちゃった。

何で?

そうやって、相手の気持ちを学んでいくチャンス。

世の中には、いろんな考え方の人がいると気がつくチャンス。

多様な考え方の中で、うまく物事を進めていくための、試行錯誤を経験できる貴重な体験です。

でも、ケンカが大きくならないようにするためには、ある程度、子供たちが普段の生活の中で満たされていることが大事になって来ます。