近頃、自分で自分のことが決められず、親や先生の指示を待ってからでないと動けない子供が増えています。いわゆる「指示待ち人間の子供」と言われています。
社会に出てからも、部下が上司の指示がないと動かないと、嘆くこともよくあることのようです。
では、この「指示待ち人間」はどうしてそうなったのでしょう?
実は、親や、先生、上司のかかわり方にも原因があるようなのです。
「指示待ち人間」を作るNGワード
日頃、育児をする中で、子供が思い通りに動いてくれないとか、失敗してしまった場面でつい使いがちな言葉が、「指示待ち」の原因を作ってるかもしれません。
・「早くしなさい」
・「~しちゃだめ!」
・「~したらどう?」
・「なんで言われた通りやらないの?」
・「ほら!だから言ったでしょ!」
・「~しなさい」
・「勝手にしないで!」
どうですか?こんな言葉、よく使っていませんか?基本的に、子供がやろうと思ったことを否定すること、失敗したときに怒られる、というような経験の積み重ねによって、「怒られたり、否定されたりされたくない」→「怒られる前に、やっていいか聞いておこう」そういう心の動きになるのも当然のことです。
また、親のほうから、「これで遊んだら?」というように、遊びを決めてしまうことも、自分で決める力を弱めてしまいます。
本来、遊びとは、自発的に子どもが遊びたいと思うことを遊ぶものです。自分で遊びを作っていく中で、こうやったらもっと楽しいかも、こうやったらもっとすごいことができるかも、わくわくしながら想像力を働かせていくものです。
実際、うちの次男は、指示待ちの傾向があります。なぜだろうかと考えたとき、思い当たるのは3つ上の兄の関わりでした。しっかり者のお兄ちゃんで、次男が何か困ったことがあったとき、何かといえば、「お兄ちゃんお願い」と、お兄ちゃんを頼っていました。正義感が強く、曲がったことが嫌だったお兄ちゃんは、良かれと思って、何かと次男のやることに手を出しました。よく言えば手伝ってあげていたのですが、実のところ、次男の自分でやりたい気持ちを奪っていたことにもなってました。ちょっと間違ったことをしようものなら、すぐに「それは違う」「そんなことしちゃダメ」「貸して、やってあげる」。そうやって、何でもやってあげていました。
そして、5歳も過ぎたころから、気づけば、なんでも聞いてくる子になっていました。「お母さん、これで遊んでいい?」「お母さん、トイレいっていい?」「お母さん、これ食べていいの?」
「トイレに行っていい?」なんて、なんでこの子はわざわざそんなこと聞くんだろう?って不思議でした。聞かないで自分で考えられないの?そう思いました。
今思えば、小さいころからやりたいことを止められたり、なんでもやってあげすぎたからだと思い当たるのです。
自分で考えられる子供にする3つのポイント
今、学校でも指示されないと動けない子が増えています。小学校で、答えがわかる質問にはたくさん手を挙げるけど、「どうやったらいいと思う?」というように、答えのない質問や、考えさせる質問にはあまり手が挙がりません。
小さなころから、「あれしなさい」「これしなさい」「早くしなさい」「それはダメ」という言葉をたくさんかけられたことで、自分で考えて動くということに慣れていないのです。そして、学校は学校で、みんなと同じことをしない子は怒られるので、ますます指示待ち傾向が強くなっていきます。
では、どうしたら自分で考えて動けるようになるのでしょう?
それには、「認める」「許す」「どうしたいか聞く」という3つのポイントがあります。
まずは、やったことを「認める」ことです。子どもは、いつだって親に認めてもらいたいと思っています。ある程度大きくなってからは、他人に認められたいと思うものです。何か子供がやり始めたら、その手を止めさせずに、やりたい気持ちを達成させてほしいと思います。とはいっても、親にとって望ましくないこともあるでしょう。そんなときでも、頭ごなしに「だめ!」「やめなさい」とやってることを否定するのではなく、「それをされると困るから、こうしてくれると助かるんだけどな」とか、「お母さんは、今はそれをやられるのは困るんだけど、どうしたらいい?」って、困る理由を説明して、そのうえでどうしたらいいか子供に尋ねてみることです。
次に「許す」こと。失敗したときに、「だから言ったじゃない!」「なんでそんなことするの!」って、頭ごなしに怒鳴るんじゃなく、例えば水をこぼしちゃったときでも、「あ~あ。やっちゃったね。どうすればいい?」って、聞いてみることです。もちろん、命にかかわるようなことは、全力で止めるべきですが、命にかかわること以外は、おおらかに、許してあげてほしいのです。「あ~あ」は魔法の言葉です。「あ~あ。やっちゃった。でも、拭いたらいいよね?」って。失敗にひとつひとつ目くじらを立てるのではなく、失敗したけど、どうしたらいいかを考えさせるくせをつけましょう。
三つめは「どうしたらいいか聞く」です。例えば、「トイレに行きたいけど、行っていい?」って言ったとき、「あなたはどうしたいの?」って聞いてみる。「これで遊んでいい?」って聞かれたら、「どうしたいの?」って聞いてみると、自分でこうしたいって、必ず答えます。そうやって、自分で決めるチャンスをできるだけたくさん作ってください。
まとめ
子供がやりたいことをやりたいようにさせてあげるとか、失敗を許すなんて、日々の生活の中ではなかなか難しいものです。子供がなかなか思い通りにならないとか、失敗してイライラするとか、よくあることです。
親は、子供がうまくいくように、失敗しないようにと望んでしまうところがあります。でも、転ばぬ先の杖をつきすぎて、失敗から学ぶ経験を奪ってしまわないように気を付けてあげなければいけません。できるだけ手を出したい気持ちを抑え、やらせてみることです。
社会人になって指示待ちになってしまう場合は、やはり、きちんとしすぎるできる上司の元にいる部下が指示待ちになる傾向が強いといいます。部下に任せられない。部下がやったことにこれじゃだめだとすぐダメだしする。その繰り返しで、怒られるよりなら、言われたことだけやっていようという心理が働くためだそうです。
「信じて任せる」、「信じてやらせてみる」ということが、大人も子供も必要のようです。
そして、プレーパークでは、こどもの「やりたい」を叶えてあげるための場所です。