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夏休み中に、「リスクとハザード」についての研修がありました。
子どもの遊びに危険はつきものです。
家庭の中でも、危ないからそれはダメ、というように、子どもの遊びを止める場面も多々あると思います。
本当に止めなければならない危険ももちろんあります。でも、命にかかわらない小さな危険をどこまで見守ってやれるか、子どもの挑戦したい気持ちと、ちょっと危ないな~と思いながらも、どこまで許してあげられるか。
子供は、常に自分の限界ギリギリのところで挑戦しようとするので、そこに危険はつきものなのです。
排除すべき「選びようのない危険」
危険には、「リスク」と「ハザード」があります。
「リスク」は、子どもが自分の限界より、ちょっとハードルの高いことに挑戦しようとするときに生じる危険のことを言います。
ちょっと高い所から飛び降りてみたい。
大きい子が挑戦しているノコギリやトンカチに挑戦してみたい、そんなときに、ちょっと手を切るかもしれない、自分の手を打ってしまうかもしれない、そういう危険です。
家の中であれば、包丁を使って、野菜を切るお手伝いをしたい、なんていう、刃物を使うことに対する危険です。
一方で、子どもの意思で選びようがない、子どもの目には見えない隠れた危険を「ハザード」と言います。
遊び場に、釘が突き抜けた木材が転がっていることや、遊具のゆるみ、ロープやひもを体に巻き付けて遊んでいる、刃物を振り回して遊んでいる、人に向けて石を投げている、など、命の危険を伴うものです。
また、棒を振り回して戦いごっこに夢中な小学生のそばに、小さな子がヨチヨチ歩いていたら、「小さい子いるから気を付けて」っていう声掛けが必要になる場合もあります。
そういう、危険は、なんとしてでも止めなければならないし、見つけ次第、注意しなければならないし、取り除ける危険は排除しなければなりません。
また、自然の中では、ハザードが大きくなるということも知っておいて欲しいと思います。
水の事故は、毎年後を絶ちません。
子供は水深10cmでも溺れると言います。水遊びの際には、子供から目を離さないで欲しいと思います。海や川も同様です。子ども同士で楽しんでいるから大丈夫と、目を離したすきに子供は静かにおぼれます。
自然を甘くみてはいけません。泳げる子が、流れに足をとられて溺れることだってあるのですから。
また、川遊びも、裸足で入って足を切ることもよくあります。履物をちゃんと履いておくことで、避けられる危険もあります。
また、キャンプに行った際、森の中では、また違う危険が潜んでいます。毒蛇や、毒草、ハチに刺されるなどの危険も潜んでいます。
木登りする際には、枯れ枝に手をかけないとか、葉っぱのついていない枝を落としておくことも必要になることもあります。
子どもの木登りを見守る際に、細い枝に足をかけないとか、下はコンクリートじゃないかとか、注意して見守るポイントもあります。
あとは、大人も、無理をさせすぎないことです。
「せっかく来たんだから、もっと遊んできなさい」
「ほら、あんなちっちゃい子だってできるんだから、あんたにもできるから、やってみなさい」
と、子どもが挑戦しようとしていないのに無理に挑戦させようとすると、事故やけがにつながります。子どもは、自分が挑戦したい、挑戦できそうな範囲を知っています。自分の感覚で挑戦したいことには挑戦させてあげたらいいのです。
我が家の末っ子の例で言うと、小学校高学年の子が、冬場、水の入っていない用水路にかかる丸い水道管を渡って遊んでいました。水がないから大丈夫、という認識であったと思います。当時4歳の息子は、それをそばで見ていました。お兄ちゃんが「お前もやってみろよ」と、息子に言います。息子はちょっと怖いな・・・って思ったけど「いいからやってみろよ!」と言われ、恐る恐る渡ってみた。
そしたら、足を滑らせ、コンクリートに頭を打って、おでこがぱっくり割れ、流血。病院に走り、3針縫いました。
本人が気乗りしないことを無理にやらせるものではありません。
また、大人の方が、子どもが喜ぶからと、より高く、より激しく遊ぶことでも、思わぬけがを招きます。
私自身、子どもがまだ3歳頃。子どもと一緒にシーソーに乗っていて、子どもががったんがったんお尻が浮く感覚が楽しくて喜んでいるのを見て、もっとお尻が浮くくらいと、激しくがったんがったんしていたら、シーソーの持ち手に頭をぶつけてシーソーから落ち、おでこがぱっくり割れ、これまた流血。
流血して、すぐに病院の救急に走り、3針縫いました。高速道路のパーキングにある公園での出来事でした。パーキングの人に、近くの病院を探してもらい、止血しながら高速を降り、慌てて病院に向かったのを覚えています。
私自身、そういう失敗の経験があるので、やりすぎはよくないと、肝に銘じています。
また、我が家の例でもう一つ。
キャンプに行ったときのこと、夜、ホタルを見に行き、ホタルが草むらに止まりました。次男が走っていって、暗い草むらに手を伸ばしたとき、突然、「痛い!!」という声。泣きながら草むらから駆け戻った次男の手にはヘビに咬まれた跡が!!
なんと、次男、マムシに咬まれたのでした。
ヘビの姿は誰も見ていなかったのですが、咬み傷からヘビだと判断。即救急車を呼びました。
山奥だったため、救急車の到着にも時間がかかり、その間みるみる腫れていく次男の左手。手の屈曲部付近を縛って、傷口を洗ったりはしていたけれど、救急車の到着までどうすることもできず。
結局、救急車到着からも、地元の病院では血清を打てず、そこからさらに一時間の大きな病院まで移動し、そこで血清を打ち、一週間入院しました。血清を打つ時も、「血清は馬の血で作られているため、アナフィラキシーショックで命が危険になる場合もありますが、それでも血清を打ちますか?」というような説明に、びくびくしながらも、それしか方法がないのならと同意書にサインしました。
最終的に肩までパンパンに腫れあがり、手はグローブのようになりました。
それ以来、キャンプの時、暗闇の草むらには、絶対に入らないように子供たちに注意しています。
隠れた危険は、どこに潜んでいるか分かりません。
自然の中では、命に関わる危険が高くなると感じます。
怖さを知らないこともまた、怖いことだと思うのです。
そうは言っても、挑戦もさせたい
でも、そういった本当の危険を知りつつ、小さな危険を伴う挑戦はさせてあげたいと思っています。
一つの例として、『高所平気性』があります。
近頃都心では高層マンションに住む子も多くなり、『高所平気性』と言われる現象があるようです。ベランダの手すりを乗り越え、転落死してしまう事故が、一年に40件近くあるようです。
ジャングルジムや滑り台などの遊具で遊んだり、ちょっと高いかな、と思うようなところから飛び降りて、びっくりするぐらい足がビリビリしびれたり、ときには膝を擦りむくような痛みを味わう経験をとおして、高いところは怖いという感覚は自然に身につけられていきます。
高さの感覚は4、5歳で大人の8割方できあがります。それまでに、公園のブランコや滑り台などで、高さの危険・恐怖心を植え付ける必要があります。
危ないから高い所に登っちゃダメと、小さな危険を排除しすぎると、本当に大きな危険を回避できない、ということにもつながりかねません。
高い所からジャンプしようとしている子供がいたら、その飛び降りようとしている先に危険なものは転がっていないか、飛び降りようとしているところにコンクリートのブロックがある場所ではないか、転んでもすりむく程度の高さか、下は土なのか、コンクリートなのか、止めるか、挑戦させるか、瞬時の判断が必要になる場合もあるかと思います。
大きい子なら、ちょっと高いかな?っていうくらいの高さからジャンプしてみたり
下がふかふか枯葉の中なら、ちっちゃい子だってジャンプが怖くない!
でも、危険を知っているからこそ、排除できる危険が大人には見えるし、このぐらいは挑戦させてもいいかな、という見守れる、そんな大人を増やしていきたいと思っています。
挑戦し、成し遂げた子どもは、達成感でいっぱいです。自分にもできた!という自信にもつながり、次なることに挑戦したいという意欲がわいてくるでしょう。次はもっとこんな風にしたら、もっと面白いんじゃないかな?と、創意工夫していくでしょう。友達と協力して成し遂げた事なら、すばらしい思い出になるでしょう。
子供は、挑戦によって、自分の世界を広げようとしているのです。
木登りすることで、世界を俯瞰して見ることができます。視点が変わることで、見える世界が変わることを体感します。
自分の世界が広がる経験は、子ども時代にたくさんしてほしいことです。
小さい子だって、はじめに道具の使い方さえ教えてあげれば、ノコギリだって、トンカチだって使えます。
自分でできたら、この、得意げな顔!
草滑りだって、普通に滑るのに飽きてきたら、ちょっと難しい立ち乗りに挑戦してみたくなるものです。
冬、ソリに乗らせたら、ジャンプ台でジャンプしたくなる。ひっくり返って転がって、大丈夫か?なんてこともあるけど、子どもは、こういったスリルがたまらないものです。
つい、危ないからやめなさい、って言いたくなるけど、どこまで許してあげられるか、小さな危険を経験しながら、子供は学び、成長していくものだと思い、いろんなことに挑戦させてみて欲しいのです。
子どもは、簡単にできてしまうことだと、すぐに飽きてしまいます。
ちょっと難しいけど、失敗しながら何度も挑戦してできた!というようなものに夢中になります。その過程で、擦り傷を負ったり、怪我をしてしまうこともあるかもしれません。
でも、その経験をすることで、この遊びは危ないなぁと工夫する危険回避能力が自然と身に付き、また繰り返し挑戦し続け「できた」ときには、達成感と同時に、大きな自信が得られ、その自信が何事にも挑戦しようとする自発性を生み出すのです。
そして、何より、子どもの「やってみたい!」「おもしろそう!」という気持ちを大事にしてあげたい。
安全ばかりを重視すると、子どもの冒険心や挑戦心は満たされることはありません。
やりたいと思ったことを「危ないからやめなさい」「そんなことやってどうするの?」って、止められてばかりいたら、与えられたことをこなすばかりで、挑戦しない子になってしまいます。
新しいことに挑戦するわくわく感と、できた達成感を知っているからこそ、次なる挑戦に向かうことができるのです。
プレーパークの中での大人の役割
プレーパークは、『自分の責任で自由に遊ぶ』をモットーに、自分がやってみたいと思うことに、自分が挑戦するかどうかを決め、子ども達はそれぞれ自分のやりたいことをします。
ノコギリ使って木を切っていたら手を切っちゃった。
汚すと本当はお母さんに怒られるんだけど、どうしてもやりたくて、泥遊びしちゃった。
濡れたらだめなんだけど、水かけあってびしょ濡れになっちゃった。
そんなことは、プレーパークの中ではよくあります。
「濡れても、遊んで乾かすから大丈夫!」って言って、水遊びする子もいます。
でも、これも、自分がやりたいと思ってやったことで、後でお母さんに怒られちゃうっていうのは、子どもとしたら覚悟のうえで遊んでいるわけです。
手を切っちゃった子や、すりむいちゃった子は、自分からカットバンをもらいに来て、ペタッと張ったらまた何事もなかったかのように遊び始めます。ある程度遊びの中ですりむいたり怪我をしたりするっていうのは、子ども達の中では想定内のようです。
だから、子どもがやりたいことに挑戦しようとするときは、ある程度自分で覚悟しているところもあります。
そんな子どものやりたい気持ちを止めずに、できるだけ挑戦させてあげて欲しい。でも、子供には予測がつかないけど、大人には予測がつく危険というものがあります。
釘が飛び出た木材が転がってたり、刃物が小さな子の近くに転がっているなど、そばにいる大人が、これは危ないな~というハザードがそれにあたります。
取り除けるハザードは、プレーリーダーが気づいた時に取り除いてあげていますが、子どもがたくさんいるときは、なかなか目が行き届かないこともあります。
そんな時、いると助かるのが『フローター』という存在。プレーリーダーではないけど、プレーパークに時々子どもを連れて遊びに来てる親御さんで、子どもは遊びに夢中になっていて、ふと、親御さんは手が空いている。自分の子じゃない、他の子に手を貸してあげてることもあれば、ふらりと遊び場を歩いて回って、親御さんの目から見て、これ、危ないな~と思うものをさりげなく取り除いてあげている、そんな人のことを『フローター』と呼んだりします。
「ここに釘落ちてたから拾っておいたよ」なんていう感じで、さりげな~く子どもが安心して遊べる場を整えてくれる人。
「危ないからやめなさい」「汚いからやめなさい」という禁止のまなざしではなく、「できるだけ挑戦させてあげたい」「でも、この子、大丈夫かな~?」と、ハラハラしながらも、ぎりぎりまで手出ししないで見守ってくれる、そんな大人が、プレーパークにはいるのです。
本当に危ない場面では、ちゃんと注意もします。
子どもの挑戦には多少の怪我のリスクがつきものです。それもわかったうえで、子どもの挑戦を温かい目で見守り、できたときには一緒に喜べる、そんな大人がプレーリーダーです。
子どものくだらなさを、面白いと思って見ていてくれる、それが、プレーパークにいる大人の役割だと思っています。
今後のプレーパーク
はぴちるプレーパークも、十和田を中心にこれからもまだまだやります。
★ちとせ小学校放課後プレーパーク(雨天中止)
毎週水曜 15:30~17:50
★8/31 野辺地キャンプマーケットにてプレーパーク
柴崎地区健康レクリエーション施設
プレーパークは11:00~17:00まで。
※ナイトマーケットは17:00~21:00
★9/14 三沢中央公園プレーパーク
10:00~15:00
★9/21 若葉公園プレーパーク
10:00~15:00(雨天中止)
【寄付のお願い】
はぴちるは、皆様からの寄付によりプレーパークの材料費や交通費をあて、活動しております。子ども達へのおやつは、ほぼ自腹で賄っております。(ときおり、みんなで食べてねと、差し入れ下さる方もいて、とてもありがたいです)
夏休み中などは、お昼ご飯を食べていない子も割といるので、お腹にたまるものを持って行ったりもしていました。
活動費のお振込みも随時受け付けております。
今後もこのような活動を続けていくために、どうぞ、ご協力をお願いいたします。
今年買ったばかりのハンモックも、子ども達の激しい使い方に、早くもやぶれてしまいました。何とか縫って、補修しながら使っています。
皆様からのご寄付をお待ちしております。
【ゆうちょ銀行】
記号18420 番号07138981
シンドウサチコ
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