プレーパークみたいに、おうちが子ども達のたまり場になっていく。おうちプレーパークは、そんなに難しいことではありません。ただ、自分の子供の友達が毎日のように遊びに来ているなら、既におうちプレーパークです。そこが居心地がいいから、子ども達は集まってきます。でも、毎日のように子供たちが集まると、困ることも出てきます。
ご近所さんとの関係
子ども達が毎日のように集まる場所というのは、子ども達にとって居心地がいい場所だから集まるのです。あれもダメ、これもダメと、あんまり口うるさく言われないとか、そこにはおうちの人がいて、温かく見守ってくれているから、なんだか安心できるとか。
そういう居場所になってくると、そこはもう、おうちプレーパークと言っていいのだと思います。基本、プレーパークとは、子どもがやりたいことを自分の責任で自由にやれる場所で、大人は最低限、危険がないかを見守っているだけ。ちょっと転んでケガしたとかは、絆創膏をペタンと張るぐらい。
木工ができるからプレーパークってことではなく、木工はあくまでも手段で、それがあると、子ども達が集中できるので、あまり大きな動きにならないという利点があるので、プレーパークに木工を持ってくることが多いのです。
公園など、広い場所でやるプレーパークと違って、そこはたいてい住宅街です。子どもがたくさん集まると、追いかけっこやかくれんぼなど、動きも声も大きくなるものです。お隣の敷地に入って走り回ることも少なくありません。
ご近所さんがいるわけで、放課後遊びに来た子供たちも、夕方6時近くなってくると、ご近所の方も仕事から帰ってきたり、買い物に出かけたり、車通りが多くなってくる時間帯。車が来ていないか、子ども達の動きに気を付けなければいけません。
ご近所さんに子どもがいて、一緒に遊ぶようになると、お互い様ということで、あまりトラブルになることは少ないのですが、子どもさんがいない、もしくは、もう大きくなってしまって、ご夫婦で日中は静かに過ごされたいとか、生まれたばかりの赤ちゃんがいて、子どもの騒ぐ声で起きてしまうから子ども達の遊び声が気になるとか、夜勤で日中は寝て過ごすので、子どもの騒ぐ声が気になって眠れないとか、病気療養中で、日中静かに過ごしたい、というような、様々な家庭がご近所さんに存在するものです。
自分の敷地内に入ってきてほしくないとか、子どもが走り回っていると、車を傷つけられそうでいやだとか、そんな方もいたりします。
子どもに寛大な人ばかりでないのが、住宅街で子どもを育てる難しさで、そういう方たちに、どう配慮していったらいいかも、考えていかなければいけません。
プレーパークをやっていて、クレームが来るのが、たいていそういうところからです。
それを、子どものことを何もわかっていないひどいクレーマーだと怒ることもできますが、それでは問題は解決しません。相手だって、周りの迷惑も考えないで非常識な人だと思っていると思うから。自分の正義と他人の正義は一緒ではないのです。
地域の人と、子ども達を見守り育てていきたいと思うなら、やはり、相手の立場になってみたうえで、そういう方々への最低限の配慮はしなければいけないのが現実です。
特に、住宅街の場合、仕事が終わって、人が帰ってくる時間帯は道路を走り回らないようにするとか、あんまり大声で長時間騒いでいる時なんかは、「もう少しボリューム下げてね」ってお願いすることもあります。
放課後くらいはまだいいけれど、これが夏休みになってくると、子ども達の騒ぐ声は一日中で、みんな窓を開けているので、さらに気をつかいます。
もし、ご近所さんからのそういうクレームが来たら、子ども達と話し合って、お約束を決めるといいでしょう。例えば、毎日じゃなくて曜日を決めるとか、土日はなしにするとか、遊べるときは自由なんだけども、人の敷地には入らないようにするとか、おうちの人がいないときは勝手に遊んじゃだめだとか。ご近所さんに会ったときは、ちゃんと挨拶をするとか、そういう、最低限のルールを。
もし、これから、子どもの居場所になりたいと思う方がいたら、そういうことも、頭の片隅に入れておいてください。トラブルになってからでは、とても大変ですので。
子どもの帰宅時間を守らせる
子ども達のたまり場になってくると、時間になってもなかなか帰らない子供が出てきます。「今何時?」って、聞いてきて、おうちの人との約束の時間になったからもう帰ると、すんなり帰る子もいれば、「うちはお母さん遅いから、7時までに帰ればいいんだ」って言って、なかなか帰ろうとしない子もいたりします。
外には、子ども達がいつでも時間を確認できるように、時計を置いてあります。子どもたちは、自分で時計を見て、自分の帰る時間を決めています。
それでも、学校で約束している時間があるので、その時間には帰りなさいと促しますが、それぞれの家庭の事情で、おうちに帰っても誰もいないからつまらないし、だから、ぎりぎりまで遊んで帰りたいという子供の気持ちも見え隠れするのです。
そんな子供たちを受け入れてあげたい気持ちもありますが、そこは心を鬼にして、「うちもご飯支度があるから、もう終わりだよ。また明日ね」って、帰してやります。
夕暮れ時の、ちょっぴり切ない時間帯です。
とにかく信じて温かい目で見守る
おうちプレーパークでは保険なんか掛けません。基本、自己責任で遊びます。子どもの友達が毎日遊びに来るのに、保険はかけませんよね。
もしもの時は、小学校なら、学校で入っている保険があって、それは帰宅してからの遊びについても保険が下りるようになっています。
骨折したとか、切って縫ったとか、そういう場合も、学校の保険からいくらか出ますので、それぞれの学校で、確認してみてください。
でも、そういう大きなけがは、見守っている中では今のところほとんど起きません。大きなけがをするときは、たいてい、見ていないときです。
自分のできる能力を上回ったことを、友達に「お前もやってみろよ」と言われたときとか、そんなときに起きがちです。
見守りさえしていれば、「自分で無理だと思ったらやらなくていいんだよ」って声をかけてあげることはできるし、例えば、木から飛び降りるなんていうときでも、木の下に危ないものはないか、危険を取り除いてあげることはできます。
友達がやっているのを見て、自分もやってみたい、って思うのは自然なことです。「おれなんか、こんなこともできるんだぜ!」って、自慢したくなるものです。それが原動力になって、できないことに挑戦して、できるようになるのも、仲間と遊ぶ良さなんだけど、そういう意味で、『危ないからダメ』って、何事もダメダメ言うのではなく、危険を回避する方法を声掛けすることも、時には必要です。
子供の成長を信じて、やってみたいを応援する。でも、明らかにこの子の今の体力では無理だな、と思ったら、声掛けしたり、手助けすることもあります。何度か手助けするうちに、自分一人でできるようになって、誇らしげに「見て見て~!!」っていうような場面にも出くわします。
どこまで手を貸さずに見守ってやれるか、ここが大人の我慢のしどころです。