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週末は、『おいらせもりのようちえん』とコラボの森遊びの日でした。
スタッフを含め、赤ちゃん抱いたお母さんから、おばあちゃん世代まで。
温かくなって動き出した虫たちを見つけたり、食べられる木の実を見つけて食べたり。普段は見逃してしまうような、そんな自然の中の面白さをみんなで感じた一日でした。
レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』という本があります。
センス・オブ・ワンダーとは、
「美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目をみはる感性」です。
子ども時代に、そんな、センス・オブ・ワンダーを体験することは、とても素晴らしいことです。
森で出会った、面白く、おいしい、素敵なもの
今回、ちょうど我が家で飼っているカイコの幼虫と、この日の朝、繭から出てきたカイコガと、アゲハの幼虫がいたので、持って行って、みんなに見てもらいました。
カイコは、「おばあちゃんちで子どものころカイコ飼っていた」という方や、「学校で小学校の時先生が教室でカイコ飼ってた」という大人の方が時々いますが、今、実際目にすることはほとんどないのではないかと思います。
今朝も二年生の読み聞かせで『いちにちこんちゅう』を読んだら、「いちにちカイコ~!」っていうシーンがあって、子ども達、「カイコってなぁに?」「見たことない」って話していて、実物を見せられる機会があったら、見せておきたいな~と、思いました。
今朝は、アゲハの幼虫を見せて、「ちょう」のお話を読んだのだけれど、実物を見てから、こういった科学絵本を読むと、子どもたちの食いつき方が違います。
カイコの卵、幼虫、成虫、繭から糸をとったもの、糸からシルクへ。一通り全部見られるように持って行ったので、もりのようちえんの参加者さんへ、「にんげんの役に立つ虫」ということで紹介しました。
お蚕さん。
こちらは成虫。モスラのようで、よく見ると、とてもかわいい顔をしています。
そして、この、カイコの幼虫が食べる葉っぱが桑の葉です。この森にはたくさん桑の木があって、今は桑の実が食べごろでした。
森を歩いた最後には、桑の木食べ放題で、みんな夢中です。
手も口もどどめ色に(*^-^*)。
小さな子も、「お姉ちゃんにお土産持っていこうか」と、ママがとって集めた桑の実を次々食べて手が染まっていきます。
親子で、夢中で採って食べる姿も。黒いのが甘いんだけど、「赤くて酸っぱいのと黒いのを交互に食べるとまたおいしい!」と、赤い実もほおばる大人たち。
キャンプ場の原っぱをゆっくり虫を探しながら歩いていくと、子どもたちが、面白いもの見つけてくれます。
最初に見つけたのはコメツキムシ。
ひっくり返すと、パチン!!という音がして跳ねてひっくり返る様子は、まるで虫のサーカスのようです。
お次はナナホシテントウ。すぐにどこかへ飛んで行ってしまいました。
ジョウカイボンは光らないけどホタルの仲間です。
キャンプ場の中、どんぐりの木の下には、今年芽が出てきたばかりのどんぐりの赤ちゃんがあっちにもこっちにも。
10年もたてば、屋根ほども大きく成長するどんぐりです。
我が家の庭にあるどんぐりの木は、長男が4,5歳のころに公園から拾ってきて、庭にばらまいたものが、今はこんなに大きくなって、子どもたちが秘密基地作って木のぼえいできるような木になってしまいました。今、長男は21なので、芽が出てから15,6年経っています。
そう思うと、子どもの指先ほどの小さな小さなどんぐりから、こんなに大きくなる木って、すごいな~と感動します。
歩いていたら見つけたグミの木。もう、残り僅かで、子どもたちがどうにか一粒づつ口にできたかな。
あまり草刈りしていない森の中を歩くと、足元はふわふわしています。
葉っぱが積み重なってふわふわの腐葉土になっているので、木の枝を土に刺してみると、30センチぐらいは木の棒がぐっと入っていくほど柔らかな土の層。土の中では、ミミズや、微生物や、小さな生き物たちが落ち葉を分解する役割を担っています。土の中の生き物たちの力もまた、すごいものです。
そして、そんな森を抜け、今度は木苺の森へ。
パパとママと、モミジイチゴを食べるのに夢中になる子ども達。
でも、モミジイチゴはトゲトゲなので、小さい子はなかなか奥には踏み込めないけど、大きい子たちは、トゲトゲなんてなんのそので、奥の大きい実をめがけて入っていきます。
こんな特大木苺見つけたよ!!って見せてくれる子ども達。
そうして森を歩いているうち、木の切り株を発見して、何歳の木だったのか、年輪を数える子ども達。大きな切り株は、90歳は越えているそうです。
おっと、ツタウルシにご用心。触るとかぶれるものも、森にはあるので要注意!
こんな風に、ただの原っぱと思っていたところや、ただの公園だと思っていたところでも、子供の目線でゆっくり歩くと、見える世界が変わってきます。
今回、大人の方の感想で、
「大人も知らないことがいっぱいで、もちろん子供もいっぱい楽しめました。」
「色々な種類の木の実を食べる事が出来て、美味しかったです。初体験がいっぱいな1日でした!子供より私が楽しみました。」
「近くにこんな素敵な森とキャンプ場がある青森最高です。」
「今までなんとなく歩いていた散歩道もちゃんと植物に目がいくようになりました。」
という声をいただきました。
子どもだけでなく、大人も、子供と同じ目の高さで、一緒に子どもの見ている世界を楽しむことは、とても素敵なことです。
そして、子ども達の中でも、森で歩いたことを、とっても素敵な絵で表現してくれた子がいたので、紹介させてくださいね。
森遊びでは、木の実があんまり好みの味ではなかったお子さんでしたが、それでも帰宅後に書いた絵にはグミや黄色いいちご、紫の実など、一日の思い出がぎっしり!!
色鮮やかで、楽し気で、とっても素敵な絵ですね♪
そして、改めて、何にもないと思っていた景色が、いろんな驚きと面白さにあふれる世界だと気づいた時、感覚の扉が開かれるのだと思うのです。
子どもたちへの一番大切な贈りものは、
「子どもたちと一緒に自然の中に出かけ、一緒に探検し、発見の喜びに、共に胸をときめかせること」
と、レイチェル・カーソンはいいます。
大人は、子供と自然をつなぐ、インタープリター(通訳)であり、伝承者です
私達が親子で自然を楽しむような活動をしているのは、まず、子どもが自然に親しみ、自然で遊ぶ楽しさを知ってもらえるように、五感を使って、たっぷり遊ぶ子ども時代を過ごしてほしいからです。
そして、もう一つは、子供だけでなく、大人にも、自然を楽しむ目を持ってもらいたいということがあります。
ある日、子どもたちが遊んでいる時、通り雨で、大きな虹が空にかかりました。
「見て見て!!すっごいきれいな虹!!」と、大きな虹を眺めたとき、小学校3年生の子が、「おれ、虹見たの初めて!」と言いました。
3年生になるまで、虹が出ていなかったことなんてないと思うのだけれど、その子は、それまで虹が出ていたことに気づかなかったのです。虹を見て、なんてきれいなんだろうと、感動する経験をしてこなかったのです。
きれいな景色がそこにあっても、それに気づいて、ともに感動を分かち合う人がいなければ、それは感動するに値しないもので、どこにでもある日常の風景と何ら変わりのないものとしかとらえられないのだと思う出来事でした。
大切なのは、子どものそばで、発見を喜び、ともに感動する人がそばにいることだと思うのです。
今回も、いつもの散歩道の植物に目が行くようになったというお母さんがいたのも、そういうセンス・オブ・ワンダーの感覚の扉が開いたからで、この感覚が閉じたままだと、とたんに周りの景色は色褪せ、感動のない世界になってしまいます。
だから、青森なんて、面白いところが何にもないて思ってしまうのかもしれません。
大人の役割として、そういう自然の面白さを、子供と楽しむことで、子どものセンス・オブ・ワンダーの感覚を開いてあげること。自然と子どもの間に立った通訳者のような存在でいてほしいと思っています。
「ここにこんなものがあるよ。」
「見て見て!これ、面白い!」
「きれいな夕焼けだね~」
「きれいなお花が咲いてるよ」
って、子供が見落としたものに気づかせてあげる、そして、子供が見つけた面白い物、きれいなもの、不思議なものに共感して、ともに面白がってあげて欲しい。
そして、もう一つの役割として、伝承者であるということ。
自分が子供のころに遊んだ草花遊びを伝えることだったり、自分が知ってることを子どもたちに伝えること。
草笛や、クローバーの花冠やブレスレット、チドメグサをほっぺにぺったんこして遊んだり、笹船作ったり、タンポポの茎の水車とか、自分が知ってる遊びを子どもに伝えていくこと。伝承遊びは、親から子へ、子供同士で伝えられていく遊びです。
クローバーの花冠、3,4年生の子でも作ったことがないという子も結構身の回りにいるのです。
タンポポの茎を切って、切れ込み入れて水に入れるとくるりん、って丸まることとか、知らない子もたくさんいます。流れる水辺があれば、こうやって、タンポポの水車にするのも結構楽しいのです。
どの花の蜜がおいしいのか、花の蜜を吸うことだったり。カキドオシや、つつじ、ヒメオドリコソウ、サルビア、おいしい蜜のある花を知っていますか?
草笛吹いたり。
草笛一つでも、いろんな草笛があります。
細長い草笛を親指ではさんで吹く草笛や、タンポポの茎の草笛、ニセアカシアの葉っぱを唇に当てて吹く草笛、イタドリの茎の笛・・・
今回、なかなかやることのない遊びだけれど、ホオの葉の風車を作って遊んでみました。
ホオの葉を加工すると、走るとクルクルよく回る風車ができます。夢中で走る子ども達。
植物の名前や、虫の名前を知っていると、より世界は広がり楽しくなるけれど、知らなくても楽しめる楽しみ方を、私たちは伝承されてきた遊びによって知っています。
そして、知っていることよりも、子供と感動を共有することの方が、何倍も素晴らしいことです。知らないことは、知りたくなったら調べたらいい。全て知ってる必要はなく、わからなかったら、持ち帰って調べたり、写真に撮って調べたり、そうすることでより子どもの世界は広がるし、知りたいから調べるというのは、学ぶのに一番必要な姿勢です。
そうやって自分から沸き起こる興味から調べた知識は、机の上でテストのために勉強した知識よりずっとずっとその子の中に根付いていきます。
センス・オブ・ワンダーより
レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』の中から、一部抜粋して紹介します。
少し長文ですが、どうぞ最後まで目を通していただけたらと思います。
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寝る時間がおそくなるからとか、
服がぬれて着替えをしなければならないからとか、
じゅうたんを泥んこにするからといった理由で、
ふつうの親たちが子どもから取り上げてしまう楽しみを、
わたしたち家族はみなロジャーにゆるしていました。
ともに分かち合っていました。
子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、
驚きと感激にみちあふれています。
残念なことに、わたしたちの多くは
大人になる前に澄みきった洞察力や、
美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、
あるときはまったく失ってしまいます。
もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る
善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、
世界中の子どもに、生涯消えることのない
<センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目をみはる感性>を
授けてほしいとたのむでしょう。
この感性は、やがて大人になるとやってくる
怠慢と幻滅、
わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、
つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、
かわらぬ解毒剤になるのです。
もし、あなた自身は自然への知識を
ほんのすこししかもっていないと感じていたとしても、
親として、たくさんのことを子どもにしてやることができます。
たとえば、こどもといっしょに空を見あげてみましょう。
そこには夜明けや黄昏の美しさがあり、
流れる雲、夜空にまたたく星があります。
「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと
固く信じています。
子どもたちがであう事実のひとつひとつが、
やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、
さまざまな情緒やゆたかな感受性は、
この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。
幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。
美しいものを美しいと感じる感覚、
新しいものや未知なものにふれたときの感激、
思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情が
ひとたびよびさまされると、
次はその対象となるものについて
もっとよく知りたいと思うようになります。
そのようにして見つけだした知識は、
しっかりと身につきます。
消化する能力がまだそなわっていない子どもに、
事実をうのみにさせるよりも、
むしろ子どもが知りたがるような道を切りひらいてやることのほうが
どんなにたいせつであるかわかりません。
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