八甲田山 紅葉の湿原と子連れ登山

紅葉もいい頃だということで、子どもたち連れて八甲田登山に行ってきました。上は高3で体力十分。末っ子は2年生。去年岩木山に登っています。

今回のコースは、酸ヶ湯から仙人岱~大岳~毛無岱~酸ヶ湯コース。初級から中級程度と言われる登山コースは、人気もあり、シーズン真っただ中と言うことで、酸ヶ湯の駐車場は満杯。

この素晴らしい紅葉シーズンの毛無岱の景色を、子どもたちの目に焼き付けておきたいと思いました。

自分の子どもにも、そういう経験をさせたい!という方のために、子供と山登りするとき、どういうところに気を付けたらいいか、持って行った方がいいものは?など、そういう視点で今回の八甲田登山の記録を紹介していきたいと思います。

ちょっと長いですが、登山した気分を味わいつつ楽しんでみてください。

いざ!登山!その前に・・・

今回の八甲田登山。ガイドブックなどの紹介には、初級から中級程度で紹介されている人気コースでしたが、久々に登ってみて感じたのは、登山経験がある人にとっては初級。登山経験がない人や小さな子供連れの方にとっては中級レベルである、という感想です。

と、言うのも、天候にもよりますが、今回は全体的に登山道がぬかるんだり、木道も水没しているようなところがあり、歩きづらいという点。

登山靴ではない、防水性のあまりない普通の運動靴では、滑りやすいし、水没して靴の中が濡れてしまいます。

そして、登っている時はかなり暑く感じますが、山の10月は風が冷たく、山頂では5度くらいの気温です。ちょっと休憩すると汗が冷えて体温を奪われます。汗とりにタオルを背中に入れたり、山頂で着るための防寒着も背負っていく必要があります。

歩いていると、汗をかくため、水も持っていく必要があります。今回のコースは、途中の仙人岱に水場がありましたが、基本的に、一人につき500mlのペットボトル一本は最低必要です。防寒着、水、お弁当で、荷物も結構な重さになります。

そして、小さな子供の場合、最初は大人がついていくのもやっとなくらいのハイペースで登ったりしますが、途中で疲れた~!と言われてしまうことも少なくありません。そんなときは、こまめに休憩しながら行くことと、飴やチョコレートなどの行動食があるとかなり違います。

疲れたときの飴ちゃんパワーは最強です。「飴ちゃんパワーで、もうちょっとがんばろっか?」で、だいぶ頑張れます。

ただ、くれぐれも無理をさせすぎないように。せっかくのきれいな景色も、子供が不機嫌になってしまっては台無しです。山登りは楽しい。そんな気持ちでいてもらうために、どうしても歩けない場合は、きれいな景色のところまで見たら下山するか、どうしても山頂まで行くのであれば、途中、大人が背負って歩くことも覚悟しなければなりません。でも、頑張って歩いた❗っていう達成感は、歩いてこそのものですが。

登山経験のあるご家族で小さな子供さんを連れて登山する場合は、3歳以下であれば、はじめから背負子を用意して、歩けるところだけ歩かせ、大変なところはお父さんが背負って頑張り、山頂を目指す、というパターンもあるかもしれません。

小学生以下のお子さんを連れて登山する場合は、無理のないコースでの登山をお勧めします。その方が、自分の足で歩けた自信と達成感を得られますから。

そういう意味では、始めての登山は、低山から始めてみるのがいいかもしれません。それでもどうしても八甲田のこの景色を❗と思うのであれば、コースを考えるといいでしょう。

今回のコースは、酸ヶ湯から登り、仙人岱、大岳から毛無岱~酸ヶ湯と、違うコースで下りてくるコースで、大人の標準タイムでお昼休憩なども含めて5時間程度歩きます。登り2時間半、お昼休憩30分、下り2時間です。小さなお子さん連れだと、休憩もこまめにするので、全行程で6時間は見たほうがいいでしょう。

そのぐらい歩く自信がないのであれば、ムリせず、八甲田ロープウェーで山頂駅まで行き、そこから大岳まで一時間ほど登り、お昼を食べて二時間ほど毛無岱コースで歩いて景色を楽しみながら下山というのがいいかもしれません。それでもだいたい四時間コースです。

もしくは、ロープウェイから大岳に行かず、毛無岱コースで酸ヶ湯に下りても。それだと下山まで二時間半です。

その場合、ロープウェーの乗り場からスタートして、下りるのは酸ヶ湯となるので、数名で行って、車を酸ヶ湯にも一台停めておいてピストンするか、バスで戻る場合は、時刻表のチェックも必要になります。バスまでの時間で待ち時間があれば、温泉に入って疲れをとるのもいいですね。

とにかく、お子さんの体力と、自分の体力を考え、無理のないコースで楽しんでください。子どものことばかり考え、自分の体力を考えないで登ると、大人の方がバテてしまうこともあるので、普段から運動して、体力をつけておくといいですね。私たち夫婦も、体力には自信ありますが、それでもアラフィフ。数年ぶりの八甲田は、足腰に結構きました。思ったより体力が落ちているのを感じました。

また、大岳山頂まで行かなくとも、酸ヶ湯から毛無岱コースを歩いて景色を楽しみ、同じコースで帰ってくる、というパターンもありです。

と、言うことで、親子で山に行きたい!と思った時、まずは、体力に合わせたコース選定が必要です。

次に装備。

靴は登山靴か多少の防水のあるもの、汗をかいた時の汗取り用のタオル、山頂は夏場でも風が吹くと寒い場合があるので、必ず防寒着が必要です。秋の場合は山頂付近は冬のような寒さになります。下界の気温で考えた軽装では行かないように気を付けてください。秋とはいえ、日差しが強いときは、帽子も必要になります。また、疲れたときの糖分補給で飴やチョコなどの行動食と、飲み水。山頂でご飯を食べる場合は寒いので温かい飲み物があると、体が温まります。

そして、下山後、泥靴になってしまうので、替え靴や、温泉に入るための温泉道具、着替えがあるといいでしょう。靴下もお忘れなく。

酸ヶ湯は、一般入浴は5時までなので、温泉に入りたい場合は、下山時間に注意してください。

また、ここ北八甲田は、まだまだ火山活動による火山ガスがあちこちから出ています。くれぐれも登山道から外れないように気を付けてください。

2010年に、家族で山菜取りに来ていた女子中学生が火山ガスにより亡くなっていますので、くれぐれもご注意を!

いざ!登山!酸ヶ湯から仙人岱まで

十和田から八甲田に向けて走り抜けるブナ林が、紅葉していてとてもきれいです。いいお天気で、登山日和です。

酸ヶ湯の駐車場は、登山客でいっぱいで、駐車スペースを探すのも一苦労。

登山道入り口の上空には、龍が舞うような雲が。酸ヶ湯のあたりの紅葉が最高です。

9:50いよいよ登山スタート。酸ヶ湯駐車場の向こうにある登山道は、鳥居をくぐってスタートです。

美しい紅葉を眺めながら登りますが、下はかなりぬかるんでいます。

途中火山性ガスに注意の看板が。確かに硫黄臭がたちこめています。

その周りは、火山性ガスにより、気が立ち枯れています。この、枯れている範囲、年々広がっているように思います・・・。

火山ガス地帯を抜け、しばらくまた紅葉する森林地帯をひたすら登っていきます。途中、登るのが早い登山客がいたら、わきに寄って先にいってもらったり、逆に道を譲ってもらったりしながら、時折水を飲んで小休憩しながら登ります。

森林地帯を抜け、見晴らしのいい場所で振り返ると、南八甲田連邦が見えます。

沢の水の流れの音が聞こえてくると、硫黄臭のするガレ場にやってきました。

10:50ここまで登山スタートから一時間。水分補給しながらしばし景色を楽しみます。

森林地帯を抜けたあたりから、暑くなって、汗かいて半そでになっちゃいましたが、休んでいると、吹き抜ける風が結構冷たい。

ちょっぴり冷えてきたので上着を羽織って再び出発。後ろにそびえる岩木山もくっきり見えています。

途中の沢は、水も冷たい。柱状節理が火山地形であることを物語っています。

「八甲田火山はまだ生きています」の看板が。火山性ガスのため、ガレ場には植物も生えず、生き物の気配はありません。

この沢の下が地獄沼。

硫黄色の黄色くなった岩場。

ガレ場を抜けると、イワカガミのような高山植物が出てきます。

笹やぶと、木道が出てきました。

木道は、ハイマツ地帯の中を通っていきます。

抜けると、見晴らしがよくなり、高層湿原地帯です。

11:20水場がある仙人岱に到着。水の量が少なく、湧き出た水をすくって飲みます。

仙人岱まで出発してから一時間半。ガレ場からは30分。10分休憩して、再び出発。

いよいよ大詰め!仙人岱から大岳へ

仙人岱を出て木道を歩いていくと、向こうに見えるは大岳。この山の山頂まで登りますよ~!

木道も終わり、いよいよ登りはじめ。

だんだん急になってきました。下に見えるのは硫黄岳。山の左斜面は残雪が多いため、植生が山の右側と左側とで異なります。

このあたりから登りがきつくなります。

そして、ぽっと現れる鏡沼。ここにはクロサンショウウオもいるんだとか。どうやってこんな高山にすみついたのか、不思議です。

さらに登って行きます。

振り返ると、さっきの鏡沼が鏡のように空を映しています。

子どもの方が早い早い。

12:15やっとやっと山頂です!やった~!!出発してから2時間25分。

海も見える~!あそこは青森だね。

岩木山から、白神岳も望め、反対側には小川原湖も。ぐるっと365度見渡せる、最高のお天気。

でも、気温は低いので、上に防寒着を着込んでお昼ご飯。お弁当食べながらお湯を沸かして飲んだあったかいスープの美味しいこと。ホッとします。

35分ほどお昼休憩をとった後、記念撮影して、12:50出発です。

いよいよ毛無岱へ

大岳からは、毛無岱方面に下山します。

向こうに見えるのは、井戸岳と、火山のクレーター。

子どもは走るような勢いでどんどん下っていきます。「走らないで!転がり落ちるよ!」と、声をかけます。大人は、膝が笑うので、そんなに早くは降りられません(笑)。登りより、下りの方が足腰にきます。

もう1つ子どもで注意したいのが、石を投げたり蹴飛ばしたり、わざと石を落とさないこと。下にいる人や、これから登ってくる人に当たると怪我しますから。

山頂から10分ほどで,大岳避難小屋まで降りてきました。

山頂付近のトイレはここだけなので、ここでトイレしたい人はトイレへ。

大岳避難小屋から、右手にロープウェイ山頂駅を眺めつつ、毛無岱コースへ。

 

下りていくと酸ヶ湯とロープウェイの分岐点。酸ヶ湯方面に降りていきます。

そして見えてくるのは上毛無岱。

高層湿原は、まるでナウシカの一場面を思い起こさせる風景。「その者、金色の野に降り立ちて…」そんなイメージの景色。そして所々に休憩所。

14:00いよいよ下毛無岱が望めるポイントへ。

真下にはずーっと下まで続く階段。階段の上から望む景色は絶景です!

湿原では、一本の木道なので、すれ違いが大変です。そのために、所々にこういった二本の木道がある場所があります。こういうところで待避してすれ違ったりが早いペースの人に先に行ってもらったりします。

ただ、避けてほしいのは、すれ違いのために湿原に足を踏み入れること。湿原ができるまで長い長い年月がかかります。そして、一足踏み込んだその一歩から、湿原は裸地化していきます。一足100年。もとに戻るのに100年かかると、昔学生時代に言われたことがあります。

そういうことを知らずに、写真を撮るために湿原に足を踏み入れている方もいますが、マナーは守って、この素晴らしい景観を残してほしいと思います。

木道の湿原が終わると、再びぬかるんだブナ地帯へ。

 

色づいたブナが美しいい。

ブナの実も、落ちていたけど、少しでした。今年は実なりの少ない不なり年なのかもしれません。

こんな風に石を祀っている所も。

ブナ林を下っていくと、酸ヶ湯の駐車場が見えてきました。もうちょっとです。

振り返ると、きれいなブナ林です。

15:00酸ヶ湯到着!!

登り始めてから約五時間。ようやく降りてきました。降りた右手に、靴洗い場があります。足はぬかるみでどろどろなので、こういう水場があると助かりますね。温泉前の駐車場のところにも、水場があります。

足洗い場で子どもが見つけたのはキリギリスの仲間。

一旦車で靴を替え、温泉へ。

酸ヶ湯の千人風呂。こちらは混浴。水しか出ません。温泉は強すぎて、シャンプーしても泡立たないし硫黄臭い。体をちゃんと洗いたい人は、奥にある女湯には、シャワーもあるので、そちらがいいかも。

混浴の千人風呂は、一応男女を仕切るついたてはあります。

温泉は顔を洗うと目に染みるような泉質で、乳白色のお湯で、疲れたからだに染み渡ります。

そして、駐車場から酸ヶ湯の間にあるのが薬師神社。奥に見えているのは、登ってきた大岳。

紅葉も、酸ヶ湯付近が最高でした。

子どももいるからゆっくりペースで登れるかと思いきや、以外と早いペースで歩いた八甲田登山。

大人の方が筋肉痛になりそうです。

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